高速道路の事故を防ぐ、自社で育てる安全習慣

1.高速道路では、小さな判断が大きな事故につながる

高速道路は、速度が速い分、渋滞末尾や停止車両への気づきが遅れれば、短い時間で重大な事故につながります。

内閣府「令和7年版交通安全白書」によると、令和6年に高速道路で発生した交通事故6,181件のうち、追突事故は4,449件で、全体の72.0%を占めています。

速度調整・車間距離・休憩判断など、高速道路では一つひとつの判断が事故の起こりやすさを左右します。

社員が安全な行動を選びやすい目安や仕組みを用意することも、企業ができる事故予防の一つです。

2.時間に追われる運転を生まないために

高速道路の事故を防ぐ、自社で育てる安全習慣

高速道路を使う社員は、到着時刻、渋滞、料金、訪問先での予定などを考えながら移動しています。

そのため、渋滞で予定より遅れると、休憩を先延ばしにしたり、遅れを取り戻そうとして速度を上げたりすることがあります。

本人に危険な運転をするつもりはなく、むしろ業務を予定どおり進めようとした結果かもしれません。

しかし、時間に追われるほど、車間距離や休憩など、安全のための余裕は削られやすくなります。

社員に注意を促すだけでなく、渋滞や休憩を見込んだ到着時間になっているか、会社側も確認する必要があります。

3.合図とふるまいが、安全と信頼につながる

高速道路では、周囲の車がこちらの動きを予測できることが事故予防につながります。

合流や車線変更では、直前ではなく早めにウインカーを出し、相手が判断しやすい動きをすることが大切です。

また、社名入りの車両であれば、譲ってもらった際に安全に支障のない範囲で会釈するなど、周囲への配慮を示すことも、企業人としての運転の一つでしょう。

社内の合言葉として、「早めに合図、ゆるやかに加減速、譲られたら会釈」と掲げるのも一つの方法です。

4.車間時間に自社の目安を設ける

安全な車間距離を呼びかけるだけでは、必要な間隔を社員それぞれの感覚に委ねることになります。

そこで、距離ではなく、前車が通過した地点に自分の車が到達するまでの「車間時間」で共有する方法があります。

警視庁は、速度にかかわらず2秒を適切な車間時間として案内しています。

一方、NEXCO東日本は、混雑時は約2秒、空いている高速道路では約4秒以上の車間時間を取るよう呼びかけています。

時速100kmでは、1秒間に約28m進みます。

車間時間を4秒取れば約110mの間隔となり、前車の急な減速や渋滞末尾に気づいて、ブレーキ操作に移るための余裕を確保しやすくなります。

たとえば、自社の目安として「高速道路では車間時間4秒」を今年度の交通安全方針に掲げ、交通安全情報ボードや社用車内のステッカー、朝礼での声かけなどで繰り返し伝えるのもよいでしょう。

雨天や夜間などは、路面や視界の状況に応じて、さらに余裕を持たせることが大切です。

5.休憩も、安全な業務遂行の一部

高速道路の事故を防ぐ、自社で育てる安全習慣

高速道路での長距離運転では、休憩を取ることも、安全に目的地へ到着するための業務の一部です。

出発前に休憩地点と休憩予定時刻を決め、スマートフォンやタイマーなどのアラーム機能を活用して、休憩のタイミングを逃さないようにする方法もあります。

運転日報に「休憩計画」と「休憩実績」の欄を設け、計画どおり休憩を取れたかを振り返る仕組みも考えられます。

料金や深夜割引に合わせた出発時刻が、無理な夜間走行や休憩の先延ばしにつながっていないかも確認する必要があります。

6.企業で育てる、高速道路の安全習慣

高速道路の事故を防ぐには、注意喚起だけでなく、情報を共有できる仕組みが必要です。

  • 交通安全情報ボードを設け、年度方針や事故事例などを掲示する。
  • 社内クラウド等で、社員による交通安全動画や、渋滞・通行止め・工事・天候などの情報を共有する。
  • 高速道路の利用ルートや移動予定を事前に周知し、関係する交通情報を把握した社員が、該当者へ伝えられるようにする。

こうした取り組みは、一方的な注意喚起ではなく、社員同士が情報を持ち寄り、安全を支える文化づくりにつながります。

また、自社でよく利用する高速道路や、実際の事故・ヒヤリハットを題材に、外部専門機関による交通安全講話を実施することも効果的です。

社員の判断を尊重しながら、会社が情報と仕組みで支えることが、高速道路事故を防ぐ一歩になります。

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