濡れた路面の危険性
1.道路の排水性能
日本の道路形状は、雨水や路面水を道路端へ排水するために、意図的に中央部を高く設計されています(かまぼこの断面のようなイメージ)。また、アスファルト路面にも透水性舗装と排水性舗装という技術が用いられており、道路環境の安全性向上に一役買っています。
しかしながら、雨が降ると路面が濡れてしまう状況は避けられません。私たちドライバーが濡れた路面を走行する際に注意しなければならないこと、知っておきたいこと等を再確認してみましょう。
2.濡れた路面が視界に与える影響
雨の日の夜間運転をイメージしてください。雨の日は路面の雨水によってライトの光が乱反射しやすくなります。これに対向車のライトが加わるとお互いの光が反射し合い、見えなくなる範囲が広がります。歩行者や自転車のほか、センターライン・停止線・横断歩道などの道路標示や、障害物なども見えにくくなる場合があります。
こうした現象は人間の視機能によって起こる現象なので、ドライバーとしては①ワイパーを好ましい状態に保つ、②フロントガラスの油膜を除去する、③雨の日は視界が確保できなくなることを予測しておく、といった対策をした上で十分に注意した運転をしましょう。
3.濡れた路面での停止距離
雨で濡れた路面での停止距離は乾燥路面と比べて約1.5倍伸びます。下の表に示したように、停止距離が伸びる分の車間距離を確保しておくことが必要です。
参考までに表には車が1秒で進む距離も示してあります。濡れた路面では最低でもプラス1秒の車間時間(※)の追加をお勧めします。
停止距離 | 1秒で進む距離 | |||
乾燥路面 | 濡れた路面 | 差 | ||
時速40㎞ | 17m | 24m | +7m | 11m |
時速50㎞ | 24m | 35m | +11m | 14m |
時速60㎞ | 33m | 48m | +15m | 17m |
- 車間時間 … 前車がA地点に到達した直後から、自車がA地点に到達するまでの経過時間。
一般道路では2秒以上が推奨されている。
4.濡れた路面でのタイヤ性能
タイヤにはタイヤと路面の間の水をかき出す排水性能が備わっています。具体的には、路面からの水をタイヤの溝を通らせて排水するという仕組みです。
溝が浅くなると、路面状態に関わらず停止距離が長くなりますが、濡れた路面では排水性能も低下するので、タイヤが浮く状態を招き危険性がいっそう高まります。タイヤの溝の状態チェックは事故防止のために非常に重要な要素です。
店頭に並ぶ乗用車用タイヤには、一般社団法人日本自動車タイヤ協会が2010年から運用しているラベリング制度に基づき、性能がラベル表示されています(タイヤメーカー14社が参加)。転がり抵抗性能及びウェットグリップ性能のグレードがどの程度のタイヤなのか?を示しているので、タイヤ選びのめやすとして活用できます。
5.基本的な安全対策は「スピードを落とす」こと
雨で濡れた路面を走行するときは、スピードを落として状況にあった運転をするのが最も基本的な安全対策となります。スピードを落とすことで、視界の確保・車間距離の確保が得られます。
近年は予測困難な局地的大雨が発生する頻度が多いので、天候情報に留意し、可能であるならば車の運転自体を控えるという選択も考えておきましょう。
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