安全運転管理者等講習を自社に活かす

1.安全運転管理者制度について

― 安全運転管理者による事故防止活動は実施されていたのか? ―

社員が業務中に重大な交通死傷事故を起こしてしまった場合、このような聴き取りがあるかもしれません。

安全運転管理者制度とは、自動車の使用者(事業主等)が道路交通法第74条の3の規定に基づき、車両を一定台数以上使用している事業所において、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任し、事業所における安全運転の確保を図るための制度です。

安全運転管理者は、その管理下の運転者に対して、運転者の適性等の把握や運行計画の作成、酒気帯びの有無の確認、安全運転指導などの業務のほか、国家公安委員会が作成・公表する「交通安全教育指針」に従った安全運転教育や、内閣府令で定める安全運転管理業務を行わなければなりません。

2.法定講習内容を自社に活用する

安全運転管理者及び副安全運転管理者は年に1回、公安委員会が実施する安全運転管理者等講習(法定講習)の受講が必要です。

法定講習は、企業として「交通安全のためにどうすればいいか?」を考える場となります。企業ごとに業務形態も違えば、車種や台数などの条件も異なるので、法定講習で学んだ内容の中から、自社に合った部分を参考にし、現場での取り組みに役立て活用することが望まれます。

3.自社の当年「交通安全テーマ」として推進する

安全運転管理者は道路交通法施行規則第9条の10により、内閣府令で定める安全運転管理業務を行わなければなりません。その管理業務の中には「安全運転指導」が含まれていますが、この「安全運転指導」で何をすればいいか悩む場合は、法定講習の内容を参考にするとよいでしょう。

法定講習は、交通安全教育の最前線で活動している講師陣が、いま注目すべきテーマを取り上げて講義をしています。歩行者優先などの交通法規を取り上げることもあれば、あおり運転など社会問題となっている事案を取り上げることもあります。

法定講習で取り上げたテーマを自社の当年「交通安全テーマ」として掲げ、安全運転指導業務を推進していく、という方法も参考にしてみてください。

4.組織全員を交通事故防止活動に巻き込む

安全運転管理者にも、社員として自社で遂行しなければならない本来の業務があるので、1人で自社の交通事故抑止を行うのは困難です。効果的な交通事故防止活動には、やはり組織全員の当事者意識を持った関わりが大切です。

例えば、前段で取り上げた年度交通安全テーマについて、部門ごとに進捗度を定期報告してもらう。その中で、課題があれば解決策を協議・実行する。各部門所属の社員を巻き込むことで、組織的な活動として広がりを見せるはずです。

安全運転管理者制度は企業のコンプライアンスとして適切に遵守しなければなりません。法定講習などにかかわるコストを効果的に活用することで、自社の安全運転管理を一層強化することが可能です。

また、安全運転管理者制度に該当しない事業所にあっても、社員の交通事故は事業所の存続を脅かしかねません。組織として交通安全を掲げることから始めてみてはいかがでしょうか。

お気軽にお問い合わせください。03-6261-4783TEL 0172-28-2727( 青森営業所 )

お問い合わせ